Google Scholar(論文)を使った総合型選抜入試の小論文対策


はじめに


近年、総合型選抜や推薦型選抜入試による

大学受験者が増えています。

2020年度の文科省のデータを見ても

私立では55.6%、私立国公立を合わせると45%が

総合型と推薦型を用いて大学に入学しています。


ちなみに、

総合型と推薦型の違いとしては、

学校からの推薦の有無で分けることができ、

総合型は大学が出す条件さえ満たしていれば

受験可能となります。


しかし、最近では総合型でも

教員の推薦書や評価レポートが

必要なケースも有り

必ずしも推薦の有無が違いだと

言いにくい状態にあります。


そんな総合型・推薦型選抜入試ですが

対策は基本的にはどちらも変わりません。

志望理由書、面接がほぼ必須で

そこに小論文やプレゼンテーション、学力テスト

などが大学・学部によって課される

といった具合です。


その中でも多くの受験生に苦戦を強いるのが

実地小論文の試験です。

文部科学省のデータによると

私立の場合、

総合型では21.4%、推薦型では23.2%

の大学が小論文の試験を課しています。


おおよそ20%以上の大学で

課している状況なので

決して多くはないですが

体感だと人気の上位校では、

3〜4割以上の割合で

小論文の試験を実施しているように思います。


そして、肝心な小論文対策なのですが

私がオススメするのは

グーグルの論文検索サイトGoogle Scholar

を用いた文章トレーニング方法です。


やり方は簡単で

ニュースについての感想文を書くように

Google Scholarで調べた論文を読み、

そこで書かれているテーマについて

自身の考えを述べるだけです。


Google Scholarを使うメリットは

主に3つあると思います。


①論文特有の文体が身に着く

②志望理由書の質が上がる

③大学とのミスマッチが減る


①論文特有の表現が身に着く

よく文章指導の世界では

「天声人語」の文を真似なさい

そのために毎日書かれている文章を

ノートに写しなさい

といった指導が行われます。


確かに天声人語の文を真似て書くことで

それなりの文章表現を身につけるでしょう。

しかし、「天声人語」はあくまで

一般大衆に向けて書かれたものです。


対して

大学で受ける小論文、

大学に出す出願書類、

は専門家である教授に向けて書くものです。


であるならば、

就活生が採用担当者に対して

ビジネス用語を用いたメール文章を書くように、

論文の作法に則った

文章を書く練習をする方が

総合型選抜の文章練習という観点では

適しているのではないでしょうか。


ちなみにですが

論文の世界では

天声人語などでも使われる

「〜です、〜と思う」といった表現は

あまり使われません。

代わりに「〜であった、〜と考えられる」

といった表現が用いられます。


またそうした表現や記述用語は

研究分野毎にも若干の差異や特徴があり、

こうした各学問ごとの文体というものは

日頃から論文を読んで慣れていないと

身につきません。


やっていることは

ニュースについて考えを書く練習と

さして変わりませんが

読む対象を論文に変えることで

自然と論文的な表現を

身につけることができる。

その点はこのトレーニング方法の

良い点なのだと思います。

(もちろん、指導者による指導も

論文表現をベースとすることで

更に効果が上がっていきますし、

指導者にも論文に対する知見が必要になります。)


②志望理由書の質が上がる


総合型・推薦型双方で必要な

志望理由書では、

大学でどんなことを学ぶか、

そのプランを書くわけですが

大学のパンフレットを読むだけでは

授業内容はあまりわかりません。


例えば社会学部であれば

セクシャリティについて学びたい!!

という意欲があっても

授業のシラバスに「性の政治とフェミニズム」

などとだけ書かれていることも多く

それだけでは授業の中身を

理解するまでには至りにくい。


ネットで検索してみると

タイトルが似ている本や論文は出てくるものの

優しく解説してくれる

ページとは簡単に出会えない。

そして高校生たちは

「調べてもよくわかりません」

と言って、それより先に進めなくなります。


本当はよく見ていると

詳しく解説しているページや

論文が貼られたページはいくつも出てくる

(欲しい情報はそこにある)のに

書かれている内容が難しそうだからと

端から避けてしまう。


そんなメンタリティに対しても

論文のトレーニングは役立ちます。


シラバスに書かれる内容がわからなくても

Google Scholarで論文に慣れていれば

論文を介してわからない内容に

取り組むことができます。

(わからないことを知るのに一定の負荷がかかることを知っているか否か、その差が大きい。)


論文は一見とっつきにくいですが

意外と読んでみると

それなりに理解できるものですし

わからなくてもそこで考えるうちに

何か新しいものが見えてくるものです。


そしてその結果、

シラバスに書かれた内容や

教授の研究分野を十分に理解した上で

志望理由書を書くことができるので

他の受験生に比べて具体的で鮮明なものを

書くことができるようになります。


③大学とのミスマッチが減る

多くの高校生は、志望理由書に

大学で学びたいことを書く際、

②で述べたのと同様の理由から

大学で学ぶ学問の内容を

十分に理解できないまま

志望理由書を仕上げ、

大学に進学することになります。


そして一定数の学生は

その後、イメージしていたものと

実際の学びとのミスマッチを感じ

最悪、退学に至ってしまいます。


こうしたミスマッチを避けるには

事前のリサーチが

肝要になるわけですが

ここでもやはり、

「論文を読む」という行為が

効果を発揮します。


日常的に論文に触れることで

興味分野に対する

専門的な知識・知見を得て

自分がそれまで考えていたイメージとの

合致、不一致を感じる。


不一致を感じた場合は

また興味に近い論文を読んでいき

「自分は何を学びたいのか」

を主体的に考える。


こうして学問に触れることで

大学での得られるであろう学びを

明確にイメージすることができるので

事前のリサーチの質は高まり

ミスマッチが減っていきます。


まとめ


論文に対する抵抗感が

一般的に強いせいか

あまり薦められているのを

見たことはありませんが


総合型選抜入試の対策として

論文を読むことは

かなりの効果があると

実感しています。


これまで高校、そして自分の運営する塾で

高校生たちと

一緒に論文を読み、文を添削し、

その内容に対してたわいのない話や

進路指導をしてきましたが


そうした経験を経た学生は

大学生になっても

ブレずにやりたいことを

やり尽くしている印象があります。


多くの高校生にとって

論文がより身近なものとなり

大学に入学する前の大事な時期に

学ぶことの楽しさを

知ってもらえたらと思います。