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  • 一裕 中嶋

高校の現場から少し離れて思う、学校の大変さ

更新日:9月6日



はじめに

私は現在、塾長として塾の経営、外部団体との教育プログラムの開発、学校コンサル、教員の人材紹介業、そして高校の非常勤講師を週に4コマほど行っています。 高校の教師としては5年目で、計3校に勤めてきました。 現在も高校で非常勤講師を勤める理由としては①教育全体を変えていくためには学校内部に属している必要があると考えいてる②学校、教育の変化を常に感じていたい③単純に学校の現場が楽しい④学校の先生方のニーズを知っていたい⑤学校と塾の対立関係をなくしたい、などなど様々な理由があります。昨年までは担任を一年目から4年間持たせてもらい、フルで学校現場にいました。そんな私が、今少しだけ学校現場から離れて思うことをまとめてみたいと思います。


お昼ご飯も食べれない先生たちの忙しさ

社会問題としても取り上げられる事項になりますが、学校の先生方の仕事量の多さは凄まじいものがあります。授業、授業準備、学校の運営業務、保護者対応、部活動、生徒指導、模試準備、試験準備、様々な業務がある中、一息つくはずの昼休みも人望のある先生のところには生徒が常に訪ねてきます。生徒からの相談を無下に出来ないのが先生です。そのため、お昼ご飯を食べる暇さえありません。そうした先生の多くが、授業以外の、本来授業準備や学校運営業務に充てるべき時間を削って、ご飯を食べることになります。 しかし、学校で生徒が何かトラブルを起こしてしまった際(トラブルは常に起こる)などは緊急で対応をすることもあるので、17時ごろになって「あ、そういえばまだご飯食べてなかった。」と気づくケースが多々見られます。


教員の質が向上しにくい構造的な問題

先生の質の部分ですが、恐らくこれは採用試験の倍率低下からも類推されるように、徐々に下がってしまっているのだと思います。というのも、教員を育成する機会や体制が整っていないからです。教員研修を実施する学校は多いですが、これが本当に機能しているケースってどのくらいあるのだろうか?と私は思っています。よく、ノウハウの共有が大切だということで、良い進路指導事例や授業内容を共有したりするのですが、そもそも忙しすぎる環境下での研修は、負担にこそなれ、技能向上には繋がりにくい。 現状、学校は研修での質改善を目指しているのですが、そうではなく、まず業務量を減らす=教員の数を大幅に増やすということに着手すべきではないかと思います。 ちなみにですが、日本のGDPにおける教育費の割合は、OECDに加盟する先進国の中で最下位です。日本はこれまで経済発展をしてきましたが、よくこれだけの教育費、人的資源の投入でこんなにまで成長してきたなと心底思います。 お金の話を続けますと、私立の学校の人件費にかける割合はだいたいどこも70%程度なのですが、一般的な経営理論で言えば人件費率は30%以下程度に抑えるものです。人件費にかける割合が高い水商売などでも50%がいいところ。それが学校の場合は70%。「人材にお金かけてていいじゃない。」と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。教材費や、設備投資費、開発費に充てるお金が最初からあまりないのです。 そんな組織はどうあがいても発展しません。常に自転車操業的な経営を強いられているからです。だから、これまでオンライン教育へのシフトに向けて学校はなんとか対応しきましたが、そこで様々な問題が起こってしまうのは構造的に仕方がないことなのです。 普通の企業であれば、新しい機材等を入れる際には、全てプロにお任せしますよね。でも、学校の場合は違います。パソコンにちょっと強い先生が呼ばれて、何とか自分たちだけで難局を乗り越えるのです。当然、専門家ではないのでエラーは起こります。そしてそれが保護者のクレームとなり、業務時間の増加、教員の疲弊、人材流出、質の低下へと繋がっていくのです。


学校の未来と先生に求められる高い能力

今後もこの形を取り続ける限り、学校教育の現状は改善しにくいのではないかと思います。しかし、今回コロナ化で推し進めたGIGAスクール構想には可能性を感じています。 例えばですが、これまでの教科書内容を詰め込む座学の学習を全て動画やAI教材を使った個人学習にしてしまい、それ以外の人と人との交流が不可欠な総合的学習のような教科のみを先生主導で行うようにすると、先生の授業時間、授業準備時間は大幅に縮小されます。そして、先生たちは主に生徒指導、進路指導等を行うように形を組み替えてしまえば、今のような負のサイクルから抜け出せるのではないかと思います。 言うは易しですが、一気に仕組みを変えないとどうしようもないところにまで来ているのだと思います。そして、そうなった際に、教員には学問的な教養と、ファシリテーション能力が必要になってくると予想しています。なぜなら、「先生なんていらないじゃん。」と生徒から言われないためには(学校教育としての意義を守るためには)、動画授業やAI学習を上回る何かを提供する必要があるからです。そのための学問的な教養と、ファシリテーション能力です。 生徒が能動的に学習を行うアクティブラーニングを行うには、この二つの力が不可欠です。これらがないと、その場その場で生まれる教育機会に対して対応できません。そのためきっとこれからの先生にはこれまで以上に高い能力が求められることになるはずです。


一部状況は好転しつつある

これまで悲観的な見解ばかりを述べてきましたが、一部の学校ではこうした現状を変えようと本当に努力をされています。これまで学校は、企業や団体などの「外」に対してあまり交流を持とうとはしませんでしたが、そうした流れを変え、学校の質を改善しようと頑張られているところはいくつもあります。その一つの動きとしてあるのが、授業や課外活動のアウトソーシング化です。先生方が一から何か新しいスキルを身につけ実践するのは時間的に無理があります。それを外の専門家に任せつつ、生徒の反応を見ながら学校に取り入れようとする動きが活発化しています。 この流れが加速することで、学校全体の性質変化が生じ、予算の使い方、配分の仕方もまた変わっていくのではないかと見ています。 今後私も引き続き、学校でのファシリテーション型授業実践や、専門的な能力を有した先生方を学校に紹介する業務を行う中で、この流れの加速化に尽力できればと考えていますし、こうした実践例の積み重ねで少しでも日本の学校が「外」に対して開かれていき、構造的な問題が解決され行くことを願っています


さいごに

よくニュースでは学校の不祥事が問題として取り上げられ、一教員としても「なんて酷いことをしているのだろうか」と思うことは多々ありますが、身を粉にして学校現場を支える先生方はたくさんいます。そして、そうした先生方のおかげで学校現場は少しずつ変わってきています。少しでもそうした実態を知っていただければ思い、今回このような記事を書かせていただきました。 また別の機会に私が今高校で実践させていただいているファシリテーション型授業や、高校のゼミ活動についてもご紹介させていただければと思います。


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